超音波検査(エコー検査)について
高周波の音で人間の耳では聞こえないものを超音波と呼び、超音波検査では臓器表面でこの超音波を反射させることで超音波画像を作り出します。血液、脂肪、骨などの組成によって反射する音波の強さも違うため、この性質を利用して肝臓や胆のうなどの臓器を画面上で描写することができます。
放射線は使用しないため、安全で信頼性の高い検査方法であることから、妊婦の方や子どもでも問題なく検査を行うことができます。
超音波検査の診療時間
<<午前>> 9:00~13:00
<<午後>> 15:00~18:30
※超音波検査は緊急性のある場合を除いて予約制で検査を行っております。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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9:00〜13:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - |
15:00〜18:30 | ● | ● | - | ● | ● | - | - |
当院の超音波検査の特徴
医師または超音波検査士が検査を担当します
超音波検査は、医師、看護師、放射線技師そして臨床検査技師などが実施できるものです。中でも、超音波検査士とは、超音波検査を実施する上で必要な臨床経験を積み、認定資格を取得した資格保持者のことです。
女性医師・技師も在籍しております
腹部の検査において、女性の患者様にとっては男性技師による検査だと不安に思うこともあるかもしれません。こうしたお悩みにお応えするため、当院では女性医師や女性技師が検査を行い、女性の方でも安心して検査を受けて頂けるように取り組んでいます。
土曜日でも検査・診療に対応しております
体調不良の場合、また、学業やお仕事の都合で平日のご来院ができない場合でも、土曜日の受診が可能です。
最先端の超音波検査装置を導入しております
最新のAI技術を活用した高画質の超音波検査装置を導入しております
当院では、腹部臓器や心臓から甲状腺や乳腺を含む体表器官、下肢動脈、頸動脈まで幅広い領域をカバーできるAI技術を活用した高画質の超音波検査装置を導入しています。
当院で採用しているARIETTA 650 DeepInsight(富士フイルムヘルスケア)は、肝臓の硬さや脂肪化を定量的に測定できる技術を備えています。剪断波を用いたSWM(Shear Wave Measurement)と歪みを用いたRTE(Real-time Tissue Elastography)の2種類を利用することで、肝硬度の測定が可能です。
また、超音波信号の減衰量を利用したATT(Attenuation)を使用することで、肝脂肪化についても推定可能です。これらの計測方法により、体に負担のかからない方法で肝臓の硬さや脂肪化の程度を診断することができるため、体に侵襲のある肝生検の代替手段として活用することが可能です。
過度のアルコール摂取や外食が多い方、肝機能検査によりALT、AST、γ-GTPなどの数値に異常が指摘された方、または脂肪肝や肥満が懸念される方は一度検査を受けることが望ましいでしょう。
検査の進め方
検査時間は通常5〜15分程度ですが、観察状況や部位により前後する場合もあります。
当検査では、臓器の観察を行うためにゼリーを塗布した上でプローブを使用します。また、腹部超音波検査の場合には、上半身は胸の下までお召し物を捲り上げ、ズボンやスカートは下着と共に腰骨辺りまで下ろして頂くようお願いいたします。なお、当日はワンピースや矯正下着の着用は控えて頂き、汚れても良い服装でお願いいたします。さらに、消化管ガスを避けるために圧迫する箇所がいくつかありますが、万が一痛みを感じられた場合には、お気軽に担当スタッフまでご相談ください。
超音波検査にあたって守って頂きたいこと
- 腹部超音波検査を受ける場合で、検査が午前中の場合は、ご来院前の朝食はお控えください。ただし、水やお茶、お薬の服用については問題ありませんが、ジュース、牛乳、コーヒーは摂取しないようにしてください。
検査が午後の場合は、検査の5時間前から食事をお控えください。5時間前なら朝食の摂取は問題ありませんが、昼食はお控えください。こちらも水やお茶、お薬の服用については問題ありませんが、ジュース、牛乳、コーヒーは摂取しないようにしてください。 - 泌尿器領域の検査を受ける場合、臓器を描出するために膀胱に尿が溜まっている状態でなければなりませんので、排尿は検査の90分前までに済ませてください。耐えられない尿意であれば、スタッフまでお申し付けください。
- 体表臓器超音波検査(甲状腺・唾液腺)・血管超音波検査(頸動脈)では、頸部にゼリーが付着してしまいます。イヤリングやネックレスなどの貴金属類は汚れないように検査前に外してください。
超音波検査で見つかる疾患
腹部超音波検査で分かる疾患
肝臓
肝腫瘍
- 肝細胞がん
- 胆管細胞がん
- 転移性肝腫瘍
腫瘍には良性と悪性の2種類が存在し、中でも悪性腫瘍には特に注意が必要です。過去には、肝障害が原因で肝硬変に至り、最終的に肝がんを発症するといったウイルス感染型の症例が一般的でした。しかし、現在では、アルコールに起因する肝障害から肝がんへ進行するケースや、脂肪肝が進行してNASH(非アルコール性脂肪肝炎)などの疾患に移行し、それが原因で肝がんを発症するケースも目立っています。このような疾患は自覚症状が少ないため、定期的に腹部超音波検査を受け、早期発見・早期治療が実現できるようにしましょう。
脂肪肝・肝障害
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
- 肝硬変
- アルコール性肝障害
健康診断において、ALT、AST、γ-GTP等の肝機能異常を指摘される方々は決して少なくありません。このような異常は、例えば高脂血症、糖尿病などの生活習慣とも関係性が深いと知られています。さらに、アルコール摂取や運動不足も肝臓に悪影響を及ぼすことは言うまでもありません。
B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎は、治療薬の発展により減少していますが、近年はアルコールに起因する肝障害、あるいは飲酒歴がない場合のNASH(非アルコール性脂肪肝炎)やNAFLD(非アルコール性脂肪性疾患)が顕著となっており、大きな問題となっています。そのため、肝臓の状態を把握するために、定期的な超音波検査を行うことが極めて重要です。
NASH(非アルコール性脂肪肝炎)について
肝臓内に中性脂肪が蓄積した状態を脂肪肝と定義します。しかし、アルコールを摂取しない方でも発生する場合は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と呼ばれており、国内ではおおよそ1,000万人がこの病気であると推定されています。一方で、NAFLDには、肝がんや肝硬変に進行する可能性のある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が含まれており、国内ではおおよそ100~200万人がこの疾患を持っていると言われています。NASHは、高脂血症、糖尿病、肥満、脂質異常症、急性飢餓状態や大幅な体重減少、お薬によって発症すると言われています。ただし、自己免疫性肝炎、ウイルス性肝炎(B型肝炎・C型肝炎)、薬剤性肝障害は別物ですので、注意が必要です。
超音波検査では、Shear wave elastographyと呼ばれる最新技術を使用して肝臓の硬さを調べることで、肝臓の線維化状態を評価できます。肝臓の線維化が進むと肝臓は硬化し、肝がんや肝硬変の発症リスクが増加するため、早期に肝臓の状態を評価することが重要です。肝臓の硬さに不安がある方は、一度超音波検査を受けることをお勧めします。
肝のう胞
肝臓内に液体が蓄積された状態で、それ自体は良性であり、身体への悪影響はほとんど見られません。しかし、時折、感染や出血、増大傾向などが見られることもあり、そういった際には注意しなければなりません。
肝内血管腫
肝内血管腫という腫瘍状の塊は、たくさんの細い血管が複合して成形された良性腫瘍です。成人の約5%に発症リスクがあり、特段の症状が現れず、先天的素因が原因の一つとされています。肝内血管腫と肝細胞がんの早期段階はお互いを区別することが困難であり、しっかりと鑑別するために、MRI検査やCT検査、超音波検査での経過の注視が必要です。
その他
- 肝膿瘍
- 肝内胆管結石
- 門脈ガス血症
- 肝内石灰化
- うっ血肝
- 胆道気腫
胆のう
胆のう腫瘍
- 胆のう腺腫
- 胆のうがん
胆のうには粘膜筋板が存在せず、がんの進行によって浸潤や転移のリスクが他の臓器より増大するため、早期発見・早期治療が非常に大切です。
胆のう炎(急性胆のう炎・慢性胆のう炎)
胆のうに形成された石(胆石)が頸部に移動して感染が起こると、胆のう炎の発症に繋がります。その他、無石胆のう炎、気腫性胆のう炎、壊疽性胆のう炎などの種類があります。診断には、超音波検査を実施します。
胆石(胆のう結石)・胆泥
胆石は、加齢とともに形成されやすく、特に肥満体質の中高年の女性に頻発します。また、栄養が不十分な食事を摂ることや、過剰なコレステロールが含まれる食事を摂ることも胆石の発生に繋がることがあります。診断は超音波検査によって行われます。
胆石が心配な方へ
健康診断において胆石が見つかるケースでは、高カロリー(高脂肪、高コレステロール)な食生活を続けている方に多いことが報告されています。このような食生活をすることで、胆汁中のコレステロール濃度が上昇し、それが結晶化して胆石を作ってしまう恐れがあります。一方で、栄養状態が低く、低蛋白質の食生活が続く場合は、胆汁中のビリルビンがカルシウムと結合してビリルビンカルシウムという結晶を形成することがあり、その結晶が胆石状態になる恐れがあります。石の成分によりますが、一部の胆石は、放射線画像検査(例えばCT検査や腹部単純レントゲン検査)では見つからないこともありますので、超音波検査が胆石検査において極めて効果的な検査法とされています。
胆のう腺筋腫症
胆のう壁の全体もしくは一部が厚くなる良性の疾患のことです。悪性腫瘍と区別することが難しいため、MRIや超音波検査にてしっかりと状態を確認する必要があります。
胆のうポリープ
胆のう壁に生じた突起物で、健康な方の約1割が発症します。良性であることがほとんどですが、発症して間もないがんと区別しづらいケースもありますので、注意深く観察することが重要です。
その他
- 胆管腫瘍
- 胆のう捻転症
- 胆管結石
膵臓
膵腫瘍
- 膵管内乳頭粘液性腫瘍
- 浸潤性膵管がん
- 膵内分泌腫瘍
膵管上皮に生じる膵管がんは、近年羅患数が増え続け年間3万人以上の死亡者が発生している疾患で、膵臓の腫瘍性病変の8〜9割を占めます。どちらかと言うと男性の患者様が多く、喫煙、糖尿病、慢性膵炎、家族歴などと関係していると考えられています。発症初期は自覚症状が乏しいため、健診などで早期発見することが重要です。
膵炎
- 慢性膵炎
- 急性膵炎
- 自己免疫性膵炎
急性膵炎は、他の臓器へ悪影響を与える恐れがある膵臓の炎症で、胆石とアルコール摂取が主要な発症原因とされています。最もよく見られる症状は上腹部痛であり、場合によっては背中の痛みとして発現します。悪化すると、ショック状態や命にかかわることもある重篤な疾患です。
膵のう胞
膵臓に液体が溜まる病態であり、炎症や腫瘍によるものがあります。肝臓以外に腎臓でものう胞が生じることがありますが、膵臓に起こるのう胞はがん化する恐れがあります。
その他
- 膵粘液性のう胞腫瘍
- 膵漿液性のう胞腫瘍
- 膵充実性偽乳頭状腫瘍
脾臓
脾腫瘍
- 脾悪性リンパ腫
- 脾血管腫
- 転移性脾腫瘍
脾臓原発の腫瘍は非常に珍しいですが、画像診断の技術が発展した昨今においては発見数が増加しております。
脾のう胞
脾臓では真性のう胞と仮性のう胞が生成されますが、特に仮性のう胞は臨床的に多く見られます。これらは、脾臓破裂によってできる血種や、脾臓の被膜下血種などが変性したタイプがあります。のう胞の増大によって圧迫症状を引き起こす場合、手術で切除も検討されます。
脾腫
門脈圧亢進、肝硬変、感染症、右心不全、白血病や貧血といった血液疾患によって脾臓が巨大化することがあり、これらの病気を脾臓の状態から察知することが可能です。
脾梗塞
心内膜炎や心房細動といった血栓性疾患によって、脾臓に向かって流れる血流が滞ると、脾臓が部分的もしくは全体的に壊死する恐れがあります。
その他
- 脾膿瘍
- 脾被膜下血種
- 副脾
- 脾石灰化
- 脾リンパ管腫
- 脾動脈瘤
腎臓
腎腫瘍
- 腎細胞がん
- 腎盂腫瘍
- 尿管がん
- 腎芽腫
悪性腫瘍において、腎細胞がんが高い割合を占めており、特に男性の患者様が多くなっております。主な症状としては、背部痛や血尿が挙げられますが、無症状なことも珍しくありません。自覚症状が少ないことから、人間ドックや定期健診による超音波検査を受けることが、早期発見と治療のために重要です。
腎血管筋脂肪腫
腎臓で頻繁に発見される腫瘍です。こうした腫瘍は筋肉、血管、脂肪を主要な構成要素としています。良性であることが大半ですが、悪性化する場合が稀にあります。特に、大きさが4cm以上となると自然破裂の危険性があるため、手術を要することもあります。
腎のう胞
腎臓に発生する液体が溜まった球状腫瘤は、一般的に自覚症状が乏しく、健康への影響は軽微です。しかし、隔壁を伴ったのう胞は悪性化することも稀にありますので、注意深い観察が重要です。
腎結石・尿管結石
男性の7人に1人、女性の15人に1人がかかるという、よくある疾患です。糖尿病、高血圧、肥満との関係性が疑われており、メタボリックシンドロームの1つとしても考えられています。結石ができたら必ず治療すべきというわけではなく、超音波検査によって結石の位置やサイズ等を確認した上で適切な治療方針を検討することが重要です。
腎結石・尿管結石が不安な方へ
腎臓から尿道までの尿路にできる結石は、腎結石や尿管結石と呼ばれ、尿路結石症の一種です。この病気は泌尿器科の外来で最も頻繁に見られる疾患の一つであり、年々患者様の数が増加しております。
特に、閉経後の女性や働き盛りの男性の患者様が多いと言われています。尿路結石は様々な種類の結石でできているため、胆石とはタイプが違います。これらの石の種類は、食事内容によっても変動します。腎結石は自覚症状が少ないこともしばしばありますが、尿管が細くなっている場合、尿管に石が詰まることで激しい痛みが生じます。また、無症状の方でも、腎臓に結石が生じていることはあります。尿路結石のリスクを確認するために、検査を受けることをお勧めします。
腎不全
腎不全とは、腎臓が血液から老廃物を排泄することが困難となる疾患です。腎機能は一度失うと元に戻すことはできないことがほとんどです。末期の腎不全に至った場合、腎臓代替療法、すなわち人工透析や腎臓移植が必要です。したがって、定期的に超音波検査、尿検査、血液検査といった包括的な検査を受けることをお勧めします。
水腎症
結石や腫瘍によって尿が滞留すると膀胱まで移動できず、腎臓内に蓄積される状態となり、これを水腎症と呼んでいます。水腎症を治療せずにいると、機能障害が発生し、さらには腎不全を引き起こす恐れがあるため、早期に適切な診断を受けるようにしましょう。
その他
- 異所性腎
- 腎形成発育障害
- 馬蹄腎
- 腎動脈瘤
- 重複腎盂尿管
- 腎梗塞
など
膀胱
膀胱腫瘍
- 膀胱がん
膀胱は、尿の貯留や排出に関する臓器であり、膀胱壁の粘膜からがんが発生する恐れがあります。喫煙者は非喫煙者の2~3倍もの発症率があると言われており、また、男性は女性の3倍の発症率が報告されています。
肉眼的血尿は膀胱がんの代表的な症状ですが、尿路結石や膀胱炎といった他の疾患でも同様の症状が現れることがあるため、しっかり区別することが求められます。超音波検査や尿検査などを行うことで、早期発見を実現できます。
膀胱結石
膀胱結石の発生には、二種類の原因が考えられます。一つ目は上部尿路結石が下降して膀胱内に自発的に排石されたにも関わらず、膀胱内に留まったことです。二つ目は、基礎疾患として持っていた排尿障害によって、尿流が停滞し、慢性尿路感染症によって結石が生じる二次性のものです。 前者が起こるケースは少なく、後者の原因であるケースが大半です。 膀胱結石は早急な治療は不要ですが、確定診断となりましたらしっかりと発生原因を特定していきます。
膀胱憩室
膀胱の外側に憩室と呼ばれる隆起部分が形成された状態を指します。通常、初期段階では症状はあまり現れず、憩室が巨大化すると、膀胱に溜まった尿が原因で慢性膀胱炎を引き起こすことがあります。この状態が慢性化すると、尿路結石の形成を引き起こすことがあり、尿の濁りや排尿痛、残尿感、血尿などの症状が現れ、尿路感染症や多尿症などを引き起こす恐れもあります。さらに、深刻化すると悪性腫瘍が生じる恐れもあります。
前立腺
前立腺肥大
栗の実くらいのサイズの前立腺が加齢に伴って巨大化することを前立腺肥大症と呼んでいます。この病気は前立腺疾患において非常に症例数が多いものです。良性の場合は尿道を囲む内線で生じるので、尿道が圧迫されて狭窄し、排尿に支障をきたします。その結果、夜間頻尿、頻尿、尿勢低下、残尿感といった症状を自覚します。
前立腺肥大症が心配な方へ
前立腺肥大症は、50歳を過ぎた頃から急激に発症数が増加します。病理学的には、30代から発症が増え始め、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、そして80歳で90%に上昇していきます。全員に治療が必要なわけではありませんが、前立腺が肥大することで、排尿困難、排尿後尿滴下、残尿感、蓄尿症状(急激な尿意に襲われて尿が漏れてしまう切迫性尿失禁を含む)、頻尿(1日8回以上、就寝後1回以上)といった症状を引き起こすことがあります。
前立腺結石
前立腺の中に結石が生じるもので、50代以降で発症率が高まります。
前立腺炎
前立腺炎の発症原因ははっきりとは分かっていませんが、細菌感染が血流や尿路から前立腺に拡大することで発症するケースが報告されています。排尿時痛、頻尿、残尿感、下腹部不快感、会陰部不快感、鼠径部痛といった症状が現れます。
前立腺がん
前立腺肥大症だけでなく、前立腺がんも中高年の男性の患者様が多くなっております。前立腺肥大症との違いとしては、前立腺の辺縁領域(外腺)から生じる点が挙げられます。また、他のがんとは異なり、進行スピードが遅いため、早期発見によって完治が可能です。しかし、すぐに発見できないとがんの進行によって骨やリンパ節への転移のリスクもありますので、注意が必要です。まずは、PSA(腫瘍マーカー)で検査し、がんの疑いがある場合は病理検査や超音波検査も追加で実施します。
腸管
消化管腫瘍
- 大腸がん
- 胃がん
消化管腫瘍は内視鏡検査で見つけることが大切ですが、稀に超音波検査で発見されることもあります。内視鏡検査は腸管内の粘膜の状態を確認しますが、超音波検査は腸管の壁および腸管の外部の状態を確認するという違いがあります。
腸炎
- 大腸憩室炎
- 感染性腸炎
- 急性虫垂炎
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 虚血性大腸炎
超音波検査は身体への負担が少ないという特徴があります。また、MRIやCTとは異なり、患者様が痛みを感じるポイントに絞って確認が可能です。超音波検査が、腸管内で腫れが生じている場所を特定し、腸管壁の状態や周辺臓器への影響なども検査していきます。臨床症状や他の画像検査、血液検査なども組み合わせて、慎重に判断していきます。
腸閉塞
- イレウス
何かしらの原因で腸内に食べ物や消化液といった内容物が滞留する状態のことを指します。
腸重積
腸管の一部が後ろの腸管に引っ張られ、重なる状態を腸重積と言います。乳幼児期に発症することがほとんどですが、成人が発症するケースもあります。成人では、ポリープやがんによって引き起こされることもありますので、ご注意ください。
副腎
副腎腫瘍
副腎では、私たちの生命活動に欠かせないホルモン(コルチゾール、アドレナリン、アルドステロン、ドーパミンなど)が作られています。副腎に腫瘍が生じると、こうしたホルモンが過剰に生成されるため、腫瘍の早期発見が必要です。副腎の疾患は発見しづらいため、超音波検査が有効となると言われています。
副腎のう胞
副腎の腫瘍が発見されると、ホルモンが過剰分泌されていないかを確認します。非機能性の腫瘍でもサイズが大きい場合は、がんの疑いもゼロではありません。そのため手術を検討しますが、非機能性腫瘍には内部に水分が溜まって袋状になった副腎のう胞といったタイプも存在します。副腎のう胞は超音波検査で発見できます。
血管超音波検査で分かる疾患
頸動脈
高脂血症・糖尿病・高血圧・アルコール・喫煙・肥満・感染症や炎症によって動脈の壁が狭窄すると、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞などの脳血管障害に繋がる恐れがありますので、早期発見と早期治療が重要です。
頸動脈エコーは動脈硬化を調べる検査になります。頸動脈は脳へ血液を送る内頚動脈と、顔の表面に血液を送る外径動脈に分かれますが、この分岐部は動脈硬化が進みやすい箇所です。脳に血液を運ぶ首の動脈の状態は超音波検査で確認可能です。
- 脂質異常症
血管壁のプラークの程度(脂質などの塊)を評価します。 - 動脈硬化の程度
血管壁の厚みや血管の狭窄を評価します
体表臓器超音波検査で分かる疾患
甲状腺
甲状腺びまん性疾患
- 橋本病
- バセドウ病
- 亜急性甲状腺炎
バセドウ病や橋本病が代表的な甲状腺疾患として知られています。甲状腺では、新陳代謝を促進するためのホルモンが生成されており、私たちの生命活動に大きく影響しています。バセドウ病(甲状腺機能亢進症)が発症すると、甲状腺が過剰に働くことで新陳代謝も過剰に行われてしまい、体へのダメージが大きくなります。症状は食欲亢進、体重減少、多汗、暑がり、頻脈、手足のふるえ、体重減少、倦怠感といったものがあります。
一方で、橋本病(慢性甲状腺炎)は、甲状腺が十分に働かなくなり、新陳代謝も不十分となることで、身体機能が低下する疾患です。症状は皮膚の乾燥、むくみ、体重増加、動性の低下、月経異常、全身倦怠感といったものが知られており、うつ病の症状とも似ています。
一般的な健診では甲状腺の機能を調べることはありませんので、病気の早期発見が難しいと言われていますが、できるだけ定期検査を受けることが望ましいでしょう。
良性結節性甲状腺疾患
- 腺腫様甲状腺腫
- 濾胞腺腫
- のう胞
甲状腺に1個もしくは複数個のしこりが生じる疾患です。良性のしこりでしたら大きな心配は無用ですが、巨大化して圧迫症状が起こることも稀にあり、その場合は手術を検討します。がんとの区別が重要となり、超音波検査で経過を注意深くチェックします。
悪性結節性甲状腺疾患
- 悪性リンパ腫
- 未分化がん
- 髄様がん
- 乳頭がん
- 濾胞がん
がんでも悪性度が高いものやそこまで高くないものなど様々な種類があります。特に、甲状腺乳頭がんは早期発見と早期治療によって予後も大きな不安がないと言われています。自覚症状が少ないため、巨大化して初めて認識することもありますので、自覚症状がなくてもこまめに検査を受けることをお勧めします。
心臓超音波検査で分かる疾患
心臓
当院で行う心臓超音波検査は心疾患のスクリーニング検査となります。心筋症、狭心症、心筋梗塞、心不全、心臓弁膜症などのリスクを早期発見することを目指しています。血圧が高く、健診の心電図検査で異常が見つかった方は、一度検査を受けることをお勧めします。
- 弁膜症
弁の逆流・狭窄の有無を評価します。 - 虚血性心疾患
心臓の壁運動異常や左室の瘤の有無などを評価します。 - 心不全
心臓の壁全体の収縮の低下の有無についてやうっ血の有無について評価をします。