切れ痔(裂肛)とは
硬い便を出す際に踏ん張り過ぎてしまったり、激しい下痢を起こしたりすることで肛門の皮膚(肛門上皮)が切れてしまった状態のことを指します。排便時に痛みを伴うのが特徴で、トイレの度に痛むため、それが便秘を引き起こすことから痔の状態もさらに悪化しやすくなります。
まだ状態がひどくない切れ痔であれば、お薬を用いてすぐに治癒が見込めます。ただし、便秘の症状がある方は再発リスクが高いので、便秘の解消も同時にアプローチした治療が必要です。
切れ痔の進行と症状
初期
排便に伴って肛門上皮が裂け、血が出たり痛みを感じたりしますが、症状は一時的です。トイレットペーパーに血が付くことがありますが、出血量はそれほど多くありません。
軟膏や、便の水分を多くするお薬を用いて簡単に対処できますが、症状を繰り返さず完治させるには約2〜3ヶ月治療を継続しなくてはなりません。また、便秘の症状がある方は再発リスクが高いので、便秘の治療も並行して行います。
中期
肛門上皮が繰り返し裂けて組織の深くまで傷つき、その傷の周囲に小さないぼが生じるようになります。傷の程度が悪化すると、潰瘍や瘢痕になるケースもあります。
慢性切れ痔
痔によって肛門内が狭くなり、便の通過時にさらに肛門が傷つけられ症状が慢性化している状態です。肛門の皮膚が硬くなり、排便時に少し踏ん張っただけでも皮膚が裂けるようになります。また、排出される便が細長くなるという特徴もあります。
排便自体が困難になってしまった場合、外科手術を検討する必要があります。
切れ痔の原因
排便時に困難を伴う硬くて太い便が肛門上皮を傷つけるため、便秘を原因とすることが非常に多いです。また、排便時に踏ん張り過ぎていたり、下痢便を出す際の勢いで肛門が傷ついたりして切れ痔を発症する場合もあります。
切れ痔は比較的女性に多く見られる疾患です。十分な食物繊維を摂取できていなかったり、ダイエットにより栄養バランスが崩れてしまったりして便秘を患うと、切れ痔を併発しやすくなります。切れ痔を繰り返さないためには、食事内容などの日常生活の見直しが不可欠です。
切れ痔(裂肛)の治療法
当院の切れ痔の治療は、薬物療法や生活習慣の改善が中心となります。これらの治療で約75%の患者様の治癒が見込まれると考えられています。軟膏や坐薬などのお薬で傷の治りを早くするほか、症状を繰り返さないよう便秘に対する治療も行います。必要に応じて、便の水分量を増やすお薬を使用することもあります。切れ痔は症状が緩和してもすぐに再発してしまうことも多いため、しっかりと医師の説明通りに治療を継続するようにしてください。