予防接種
インフルエンザや肺炎球菌など、当院では様々な予防接種に対応が可能です。受診される際は、事前にお電話にてご連絡ください。
予防接種を受けられない方・注意が必要な方
- ワクチン接種後、2日の間にアレルギー反応が出たことがある方(発疹、蕁麻疹、発熱など)
- ワクチンの成分に対してアレルギーを持つ方(ワクチンには抗生物質、卵、安定剤などの成分が含まれていることがあります。)
- 血液の病気、心臓病、肝臓病、腎臓病などを患っている方
- 痙攣(けいれん)発作を起こした経験のある方
- 免疫不全の診断を受けたことがある方
- 先天性免疫不全を患っている方が親族にいらっしゃる方
- 妊娠中の方(麻疹、風疹の予防接種の場合)
- 重い急性疾患をお持ちの方
- その他、ワクチン接種に注意が必要な方・受診が不可能な方
インフルエンザ
インフルエンザは、毎年冬(11月下旬〜3月上旬ごろ)に感染が拡大する感染症です。インフルエンザは風邪と比較して高熱(38℃以上)が出るほか、重症化すると肺炎、気管支炎、脳症などの合併症につながる危険性もあります。あらかじめ予防接種を受けておけば、感染防止や感染時の重症化リスク低下といった効果を得られます。また、周囲への感染拡大の抑止力にもなります。
予防接種後、通常は効果があらわれるまでに約2週間の期間を要し、有効な期間は約5ヶ月ほどです。インフルエンザの感染拡大時期にはワクチンの効果を持っておけるよう、11月初旬〜12月中旬ごろまでに予防接種を受けられると良いでしょう。受験など、12月に重要な予定がある方などは、11月中旬までに予防接種を終えられると良いでしょう。なお、当院のインフルエンザ予防接種は1歳から可能となります。
肺炎球菌ワクチン
肺炎(誤嚥性肺炎含む)は、日本国内において死亡者数が4番目に多い原因となっています。様々ある肺炎の病原体の中でも、肺炎球菌はその4分の1程度に該当します。2014年10月から、この肺炎球菌に対する定期予防接種が始まりました。対象者は、65歳から5年ごとの年齢に該当する方で、ワクチン接種ごとに5年以上効果が持続します。1990年代より、抗生剤に耐性をもつ肺炎球菌性肺炎が増えており、肺炎球菌ワクチンの意味は大きくなっています。
現在、日本を含む世界中で肺炎球菌ワクチンは使用されており、その有効性が示されています。ただし、欧米において肺炎球菌ワクチンの接種率は60%以上である一方、日本においては40%に留まる(2015年現在)など、未だに問題意識が低い現状があります。なお、日本において使用できる肺炎球菌ワクチンは2つありますが、65歳以上の方に投与するワクチンは「ニューモバックスNP」のみです。
当院では肺炎予防のため、年齢に関わらず初診時・健診時・他のワクチン接種時など、様々な機会に肺炎球菌ワクチンに関してお知らせをしております。65歳未満の方の肺炎球菌ワクチン接種は通常自費診療となりますが、メリットも大きいワクチンですので積極的にお考えください。
対象となる患者様
以下に該当される方の中には、肺炎球菌に感染するリスクが6〜11倍にもなるケースもありますので、ワクチン接種を積極的にご検討ください。
- 慢性呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患COPD、気管支喘息など)の方
- 慢性心不全の方
- 慢性肝疾患(肝硬変、肝がん、B型肝炎、C型肝炎)の方
- 糖尿病の方
- 施設に入所されている方
B型肝炎ワクチン
B型肝炎は、体液や血液を媒介してウイルスに感染し発症する疾患です。ほとんどの場合、症状は一過性のものですが、ウイルスがなかなか消滅せず症状が長引く慢性肝炎を発症するケースでは、肝硬変ののち肝臓がんに繋がるリスクがあります。B型肝炎には薬物療法が効果的です。しかし、その治療には長い時間がかかり、身体的にも経済的にも苦しい治療となりますので、ワクチン接種による予防が非常に重要なのです。
B型肝炎は、特に性交渉による感染ケースが突出しており、そのほか母子感染、針刺し事故などを原因として感染に至ります。B型肝炎感染者との性交渉や男性同士の性交渉ではコンドームによる対策のみならず、ワクチン接種による予防が推奨されます。そのほかにも、体液に触れる可能性のある救命救急士・消防士の方や、針刺し事故のリスクがある医療・介護領域のお仕事をされている方も、ワクチン接種を積極的にご検討ください。
また、インスリン治療や透析治療をされている患者様も、血液を媒介した感染の恐れが考えられます。日本において、透析患者様がB型肝炎に感染するリスクは約3割とも言われ、ワクチン接種が推奨されます。B型肝炎ワクチンの接種を終えるまでには約6ヶ月の期間を要します(詳細は下記)ので、現在インスリンや透析の治療を受けていない方でも、それらの治療を検討されている方はお早めのワクチン接種をぜひお考えください。また、血液検査にてB型肝炎に対する抗体をお持ちかどうか調べることもできますので、ご希望の方は当院へご連絡ください。
成人のB型肝炎ワクチンは、計3回(初回、1ヶ月後、6ヶ月後)接種する必要があります。ガイドラインによると、1回目接種から3回目接種までは139日以上を空けていれば良しとされていますが、効果を最大化するためには20週〜24週における接種が理想的です。3回接種を終えて1〜2ヶ月後の抗体検査で抗体が確認できなかった場合、もう一度ワクチンを投与するケースもあります(抗体が確認できれば不要)。
予防接種によって得た免疫は、成人前の接種の場合でも最低15年程度有効です。しかし、加齢によって効果は薄れていきますのでご注意ください。
帯状疱疹ワクチン
ワクチンで大人の帯状疱疹を予防しましょう
帯状疱疹は、水痘を患った後に水痘・帯状疱疹ウイルスが腰随や仙随の後根神経節にすみつき、過労・ストレスや加齢などを原因として免疫が下がった際にそのウイルスの働きが活発になることで皮膚の症状があらわれます。帯状疱疹後の神経痛や、脊髄炎、遅発性脳梗塞、Ramsey-Hunt症候群(難聴、めまい、顔面神経麻痺など)といった合併症発症のリスクもあります。
帯状疱疹は、水痘生ワクチン、あるいは2020年より使用が許可されたシングリックス®︎という不活化ワクチンにより予防が期待できます。これらのワクチンにより、帯状疱疹とその後の神経痛は60〜80%以上予防が期待できるというデータが得られています。
50歳以上の方を対象に任意または公的助成(生涯1度のみ)を利用したの水痘ワクチン接種が可能となっております。予防効果だけを見ればシングリックスの方が優れていますが、コストが高いというデメリットもあります。下記の情報もご参照の上、ご検討ください。ご質問等があれば、ご遠慮なく当院までご相談ください。
ワクチン接種
水痘生ワクチンの場合
- 対象:50歳以上の方(任意接種・1回分の公的助成あり)
- 接種方法:皮下注射
- 摂取量:0.5ml/回
- 接種回数:1回
帯状疱疹不活化ワクチンの場合
- 対象:50歳以上の方(任意接種・2回分の公的助成あり)
- 接種方法:筋肉注射
- 摂取量:0.5ml/回
- 接種回数:2回
- 接種時期:2回目接種は1回目接種から2ヶ月以上かつ半年以内
帯状疱疹予防ワクチンの比較表
水痘生ワクチン | 帯状疱疹不活化ワクチン | |
---|---|---|
特徴 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
帯状疱疹予防効果 | 50% | 97% |
帯状疱疹後神経痛予防効果 | 66% | 88% |
接種回数 | 1回 | 2回 |
有効期間 | 5~10年 | 8年以上 |
費用 (公的助成利用で自己負担が軽減されます) |
8,800円 | 22,000円/回 |
利点 | 低価格 副反応が弱い |
高い予防効果を持つ |
欠点 | 不活化ワクチンと比較して予防効果が低い | 2回接種しなければならない 接種部位に強い痛みや腫れが生じることがある |
風疹の抗体検査・予防接種
風疹は接触感染と飛沫感染により強い感染力を持つ感染症です。感染後、2〜3週間ほど経つと発疹、発熱、耳や首のリンパ節の腫れといった症状があらわれます。
近年では成人による感染者が多数を占め、時期としては2012年と2013年に日本国内で感染拡大し、2018年夏頃からも増加傾向にありました。また、1977年8月〜1995年3月までは女子中学生にのみ定期接種を行っていたことから、現在、男性感染者の方が女性感染者よりも3〜4倍多くなっています。
2019年4月現在、風疹の定期予防接種時期は1歳の誕生日を迎えてすぐと、小学校入学前の1年の間の計2回です。1歳児の接種率が95%を超えている一方、小学校入学前の接種率は95%未満となっています。2008年〜2012年度の5年間においては、中学1年生または高校3年生を対象に麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の2回目接種を行いました。このように、接種率は世代によっても異なっていますので、接種状況についてはご自身や子どもの母子健康手帳をお調べください。
厚生労働省は風疹の感染拡大の状況を鑑みて、2024年度まで「1962年4月2日〜1982年4月1日が誕生日の男性」を対象として受診券を配布し、全額公費による風疹の定期接種を行っています(当初は2021年度まででしたが、期間延長となっています)。風疹の抗体検査の結果、HI抗体価が1:8を下回っている方は麻疹・風疹混合ワクチン接種をお勧めします。
また、妊娠20週頃までに風疹に感染すると、お腹の中の子どもに「先天性風疹症候群」という心疾患や白内障、難聴などの障害が生じる危険性があります。妊娠1ヶ月におけるケースでは50%以上、妊娠2ヶ月におけるケースでは約35%で子どもへの影響が懸念されます。親が無症状の場合でも子どもへの感染リスクはあります。また、風疹ワクチンは妊娠後の接種は不可ですので、妊娠希望の段階でご自身が2回のワクチン接種を済ませているか確認し、未接種の方は妊娠前の接種をぜひお考えください。
現在、風疹の定期予防接種の対象となっていなくても、2回の接種を終えられていない方は未だ多くいらっしゃいます。特に男性はその可能性が高いため注意が必要です。女性のパートナーが妊娠を希望している場合、パートナーやその子どもへの風疹感染リスクを予防するためにもワクチン接種を積極的にご検討ください。ご自身の接種状況が分からなくても、血液を用いた抗体検査で抗体の有無を調べることができます。ただし、風疹ワクチンは何回打ったとしても身体に悪影響はありませんので、抗体検査なしでワクチン接種を2回実施してしまっても問題はありません。
HPVワクチン
HPVワクチンは、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus、HPV)感染症から身を守るためのワクチンです。HPVは性行為を通じて感染し、子宮頸がんや他のがん、性器疣贅の原因となるウイルスです。ワクチンは、HPVによる感染から免疫系を守り、感染リスクを減らす効果があります。主要なHPV株に対する免疫を刺激し、感染を予防します。
接種は通常2〜3回の注射で行われます。ワクチンは安全であり、一時的な腫れや痛みなどの副作用が起こる場合があります。しかし、このワクチンはHPV感染そのものを完全に予防するわけではありませんので、適切な予防策(例:避妊具の使用)を併用することが重要です。
HPVワクチンは、若い人々が将来のHPV関連疾患から保護されるための有効な手段です。定期的なスクリーニングとの組み合わせで、がんのリスクを大幅に軽減できます。
当院では、シルガード9、ガーダシル、サーバリックスのワクチンを採用しております。
2024年4月1日から小学校6年生~高校1年生相当の男子でHPVワクチン接種希望のある方に「4価HPVワクチン、ガーダシル」の接種が可能となりました。文京区に住民登録のある方は無料(全額助成)で接種が可能です。期待される効果は、性交渉によるHPV感染の予防、中咽頭がん・肛門がん・尖圭コンジローマの罹患リスク低下です。
シルガード9、ガーダシル、サーバリックスの違い
サーバリックス、ガーダシル、シルガード9は、いずれもHPVワクチンであり、HPV感染による疾患の予防に使用されます。それぞれの違いは以下のとおりです:
対象HPV株
- サーバリックス: HPV株16型および18型に対する免疫を刺激します。
- ガーダシル: HPV株16型および18型に加えて、HPV株6型および11型にも対する免疫を刺激します。
- シルガード9: HPV株6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、および58型に対する免疫を刺激します。
予防範囲
- サーバリックス: 子宮頸がんを主な対象として予防します。
- ガーダシル: 子宮頸がん、外陰部がん、膣がん、および性器疣贅を予防します。
- シルガード9: 子宮頸がん、外陰部がん、膣がん、および性器疣贅を広範囲に予防します。
接種スケジュール
- サーバリックス: 通常は3回の接種が推奨されます。
- ガーダシル: 通常は2回または3回の接種が推奨されます。
- シルガード9: 通常は2回または3回の接種が推奨されます。
接種内容の詳細につきましては文京区のページ(下記リンク)をご参照ください。
https://www.city.bunkyo.lg.jp/hoken/kenko/yobousessyu/kodomoyobouteiki-nini/kodomoyobou.html
ワクチン接種費用
ワクチン | 費用 |
---|---|
肺炎球菌ワクチン(成人用) | 8,000円 |
A型肝炎ワクチン | 8,800円 |
B型肝炎ワクチン | 8,800円 |
水痘・帯状疱疹ワクチン(50歳以上:生ワクチン) | 8,800円 |
麻疹風疹(MR)ワクチン | 11,000円 |
おたふく風邪(ムンプス) | 7,500円 |
DPT-IPV四種混合ワクチン (破傷風・百日咳・ポリオ・ジフテリア) |
15,000円 |
破傷風トキソイド | 4,400円 |
日本脳炎ワクチン | 8,800円 |
狂犬病ワクチン | 20,000円 |
ヒブ(Hib)ワクチン | 8,800円 |
髄膜炎菌ワクチン(メナクトラ) | 25,300円 |
※上記以外のワクチンについてはご相談ください。
※ワクチンの取り寄せが必要なためお電話または受付にて予防接種のご相談をお願いします。
子どもの定期予防接種・任意予防接種
当院では1歳以上の子どもの定期予防接種・任意予防接種について対応をしております。
ワクチンの取り寄せが必要なため、当院まで電話にて事前のご相談をお願いします。
接種内容の詳細につきましては文京区のページ(下記リンク)をご参照ください。
文京区子どもの定期予防接種:
https://www.city.bunkyo.lg.jp/hoken/kenko/yobousessyu/kodomoyobouteiki-nini/kodomoyobou.html